このページでは会社設立の全手順をわかりやすく解説しています。
ほかのサイトでは省略されるような細かい部分の解説まで含めていますので、会社設立をお考えの方はぜひ最後までお読みください。
STEP1:会社設立前の事前準備
1-1.法人形態を決める

- 株式会社
- 最もメジャー
- 合同会社
- 設立費用が安く手続きも簡素。
- 合資会社
- 無限責任なので危険。
- 合名会社
- 無限責任なので危険。
1-2.社名を決める

- 基本的に自由に決められるが使える文字に制限がある。
- 他社と被る場合は規制がある。
1-3.事業目的を決める

- 事業目的は定款に記載する。
- 事業目的に定めた事業しか行えないので慎重に検討する。
- 独特の記載ルールがあるので書き方に注意が必要。
- 多すぎると銀行口座等の審査で不利になる。
以下のページで詳しく解説しています。

1-4.資本金額を決める

- 1000万円未満であれば消費税が2年間免除。
- 開業費に加えて1年以上の運転資金を盛り込むとよい。
以下のページで詳しく解説しています。

1-5.印鑑登録証明書を準備する

- 発起人(=出資者)全員の印鑑登録証明書が必須。
- 印鑑登録をしていない場合は行う必要がある。
- 取得は自分が印鑑登録した市町村役場で行う。
1-6.オフィスの用意

- 自宅
- 住所は公開されるので危険!
物件によっては事務所として使えないところもあるので避けるのが無難です。 - 賃貸オフィス
- 独立性が高いがほかの形態のオフィスと比べて家賃が高額。
外部から信頼されやすい。 - レンタルオフィス
- 手狭ではあるが個室が使えて家賃が安い。複数名で起業する際におすすめ。
- シェアオフィス
- レンタルオフィスより安いが個室がない。
- バーチャルオフィス
- 住所だけを借りるスタイル。自宅で仕事をする人に最適。
1-7.【株式会社のみ】決算公告用のURLを用意する

- 決算公告とは
-
毎年の決算後に行う財務状況の開示のことで、株式会社に義務付けられています(合同会社は不要)。
インターネット上で行う「電子公告」にすることでコストを大幅に下げることができます。
- 官報(通常の方法)だと毎年6万円かかるがwebサイトに掲載する電子公告だと年間1万円以下で済む。
- 自分でサイトを作るより掲載代行サービスを使ったほうが楽。
- 決算公告以外の公告も電子公告にすると手続きと費用が追加で発生するので決算公告のみで利用するとよい。
- 登記時にURLが必要であるため、掲載代行サービスを使う場合は先に個人名義で契約して設立完了後に法人名義に変更する必要がある。
決算公告について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

決算公告掲載代行サービスを以下の記事にまとめているのでご参照ください。

STEP2:登記書類の作成と登記
2-1.登記書類作成サービスを選ぶ

- 登記書類作成サービスとは
- 会社設立に必要な書類の準備を簡単かつ安く済ませられるサービスで、
- 書類作成ができるwebサービス
- 司法書士が格安で書類を作成してくれるパッケージサービス
- 自分のペースで作業できる
- 打ち合わせの必要がほとんどないのでマイペースに作業できます。
- サポートが手厚い
- 自分で作業しても迷うことが無いように設計されています。
- 司法書士に頼むより安い
- 利用料が1万円未満と「司法書士の5分の1以下」の料金で使えます。
- 電子定款を利用できる
- 紙の定款と比べて4万円の節約になります。
- お得で便利な特典がある
- ツール系のサービスを中心に、オフィスの備品等の割引や法人口座・法人カード等の一括申し込みといった特典が用意されています。
- 設立後に提出しなければならない書類も作成できる
- 設立完了後に必要な作業も多いので安心です。
- 定款を細かく定められない
- 定款の内容を細かく定めることはできないため、場合によっては適しません(詳細後述)。
上記のデメリットは大した問題ではないので心配無用ですが、以下のようなケースには適しないのでご注意ください。
- 複数名で会社を設立する場合
-
株式会社を複数名で設立する際に起こりがちな株式に関するトラブルを未然に防ぐには定款と創業者間契約がポイントになります。
また、合同会社は定款の定め一つで社員(=取締役)間の発言権や利益分配の比率までも個別に設定できるため、トラブル対策は初めが肝心です。
株式会社の場合は司法書士と弁護士に、合同会社の場合は司法書士に相談して設立作業をサポートしてもらうようにしてください。 - 許認可が必要な事業を始める場合
- 許認可の取得手続きは専門家に任せたほうが速いため、司法書士が提供している会社設立と許認可の取得がセットになったサービスを利用することをおすすめします。

- 会社設立Freee
- 新★会社設立君
- 新会社設立.jp
- 会社格安センター
- マネーフォワード会社設立
- 会社設立ひとりでできるもん
- かんたん会社設立
- 弥生のかんたん会社設立
2-2.書類作成

前の項目で選んだ登記書類作成サービスに登録し、指示に従って必要事項を入力するだけでOKです。
代行サービス(会社格安センターなど)の場合は申し込み後に先方から指示があるのでそれに従ってください。
- 株式会社の方は書類作成を始める前に次項の作業を必ずご確認ください!
- 必要な書類は取締役の人数といった要素によって変動します。
- 従って必要な書類の数はケースバイケースですが、指示に沿って作業すれば全て作成できるので混乱する恐れはありません。
- 会社格安センターを利用している場合、メールへの返信と必要書類の送付以外の作業はありません。
- 色々なサイトが必要な書類を紹介していますが、前述の変動する要素を踏まえて記載しているところはないので比較しても誤差が生じます。
場合によっては作業中に自力でファイルの編集を行う必要があり、Wordが必要です。
お持ちでない場合は無料PDF編集ツールの「Hipdf(インストール不要)」をご利用ください。
必要書類一覧(一例)
- 定款
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 発起人会議事録(発起人決定書)
- 就任承諾書
- 代表取締役の就任承諾書
- 資本金払込証明書
- 資本金の額の計上に関する証明書(現物出資をする場合のみ必要)
- 登記すべき事項(OCR用紙)
- 印鑑届出書
- 実質的支配者となるべきものの申告書
- 定款
- 登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 代表社員、本店所在地及び資本金決定書(株式会社の発起人会議事録に相当)
- 代表社員の就任承諾書
- 資本金払込証明書
- 資本金の額の計上に関する証明書(現物出資をする場合のみ必要)
- 登記すべき事項(OCR用紙)
- 印鑑届出書
2-3.【株式会社のみ】定款の一部を変更

現時点の定款の文章はすべての公告に電子公告を用いるようになっているため、文章を自分で変更して決算公告のみ電子公告を用いるように変更します(※ほかの公告は官報に掲載するようにします)。
- なぜ必要?
- すべての公告を電子公告にすると、すべての公告を電子公告にすると登記時に公告調査と言う有料の調査を受ける義務がありますが、決算公告のみ電子公告を使う場合は免除されているためです。
- ほかの公告も電子公告のほうが安上がりなのでは?
- 電子公告が年1回必要なのに対して決算公告以外の公告を使う機会はほとんどないため、公告調査を免除してもらったほうがお得です。
- なぜ合同会社は不要?
- 合同会社は決算公告を行う義務がないため不要です。
書き換える方法
- 新会社設立.jp
- 会社格安センター
- 会社設立Freee
- 新★会社設立君
- マネーフォワード会社設立
- 会社設立ひとりでできるもん
- かんたん会社設立
- 弥生のかんたん会社設立
自分で書き換える際の手順
- 会社設立Freeeの例で解説していますが、ほかのサービスでもほとんど同じなのでご安心ください
- 既に解説の「変更後(後述)」と同じような形になっている場合は変更不要です(「公告方法」の部分に決算公告のみ電子公告を使用する旨が書かれていればOK)
- 登記書類作成サービスをご利用の場合は、書き換え後必ず「定款作成の依頼」を行ってください。
- Word
- Wordをお持ちの場合はWord形式でダウンロードして編集しましょう。
- Wordをお持ちでない場合はPDF形式でダウンロードしてください。
編集できるソフトをお持ちでない方は無料WEBサービス「Hipdf」をご利用ください。
- 書き換える部分は「公告方法」の項目です。
- 変更前の文章は会社設立Freeeのものですが、ほかのサービスの場合でも大体同じです。
- 変更前
-
(公告方法)
出典元:会社設立Freeeで自動的に出力される定款
当会社の公告は電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法により行う。 - 変更後
-
(公告方法)
出典元:shiodome.co.jp/js/blog/5720
当会社の公告は官報に掲載する方法により行う。ただし、賃借対照表に係る情報の提供はインターネットを使用する方法により行う。
変更して保存後、変更したファイルをサイトにアップロードしてください。
出来上がった登記書類をダウンロードし、ここまでと同じ手順で「OCR用紙(登記すべき事項)」の以下の部分を書き換えましょう。
「公告をする⽅法」電⼦公告により⾏う。
https://llc-cobeo.com
ただし、事故その他やむを得ない事由によって電⼦公告による公告をすること
ができない場合は、官報に掲載する⽅法により⾏う。
会社設立Freeeで自動で出力されるOCR用紙
公告の方法」当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
「貸借対照表の公告」http://○○.com(←使用するURL)
会社設立Freeeの場合、再アップロードする機能がないのでご自身のパソコンから印刷してください。
アップロード後、サイト上から定款の作成を依頼して完了です。サービスによっては定款を受け取る公証役場を聞かれますが、管轄内であればどこでもよいので自分がもっとも行きやすいところを選べばOKです。
2-4.印鑑の発注

- 実印
- 法人の実印。契約書への押印など、法律行為に使用する。
- 銀行印
- 法人口座の開設に使用する。
- 角印
- 法人の認印。社内の書類への押印などに使用する。
法人印鑑の買い方比較
方法 | 解説 |
---|---|
印鑑通販サイトで発注する | 複数のサイトを比較して購入できてお得。最も安い。 |
登記書類作成サービスで買う | 手間なく発注できるが、このサイトで紹介している印鑑通販サイトよりは高くなりがち。 |
実店舗で買う | 店舗まで出向く必要があるのに加えて高いのでおすすめできない。 |
法人印鑑を安く買うポイント
- 3点セットで買う
- 多くのサービスが法人印鑑を「実印・銀行印・認印」の3点セットを割引価格で販売しています(登記書類作成サービスで買う場合は元から3点セット)。
- ネットで買う
- 実店舗よりネット通販のほうが確実に安いです。
実店舗も経営している店だとネット通販の値段を実店舗の半額に設定していることもあるほどなので必ず通販を利用しましょう。 - 店を比較する
-
印鑑の値段は店によって大きく異なるため、必ず複数のショップを見比べて安いところを探すようにしてください。
法人印鑑のおすすめ通販サイト厳選5選
- 登記書類作成サービスとも比較する
- 登記書類作成サービスでも印鑑を買うことができます。
サービスによっては上の記事で紹介した印鑑通販サイトより安い場合があるので、選択したサービスとも見比べてみてください。
2-5.公証役場で定款を受け取る

- 前項までの作業がすべて終わっており、電子定款の作成と提出を依頼している必要があります
- このサイトで推奨している登記書類作成サービスを使っている場合定款の認証(=提出と確認)は代行してもらえます
- したがって認証の手順は割愛します
- 定款
- 現金52000円(定款認証代金)
- 公証役場に行く人の本人確認書類
- ほかの発起人の委任状(複数で設立する場合のみ)
- 発起人の印鑑証明書
- 発起人の個人実印
- 現金40000円(電子定款の場合は不要)
受け取りの手順
自分で場所を指定する場合とサービス側が指定する場合のどちらかになります。
使用しているサービスでご確認ください。
STEP1で確認した公証役場に行って定款を受け取ります。前述した必要な持ち物を忘れないようにしましょう。
公証役場に行く前に電話で予約をしておけば窓口で待たされることなくスムーズに終わります。
お疲れさまでした。次のステップにお進みください。
2-6.資本金の入金&払込証明書の作成

資本金を出資者の1人の口座に入金し、払込証明書を作成する。この口座は法人口座開設までのつなぎとして使用することになる。
- 株式会社の方は公証役場での定款認証後に行ってください。
- 合同会社の方は定款作成完了の連絡後が来た後に行ってください。
- 入金した資本金は登記が完了するまで引き出せません
使用する銀行口座
株式会社の場合 | 発起人(株主)のいずれかの個人口座 |
---|---|
合同会社の場合 | 代表社員の個人口座 |
次項で解説する手順の「STEP4~7」の代わりに
- 銀行名
- 口座の名義人
- 支店名
- 口座の種類(普通口座など
- 口座番号
- 残高
- 入金が確認できる取引の記録
入金と書類作成の手順
登記が終わるまで口座が使えなくなるため、普段使いのものは避けてください。
必須ではありませんが、残高が見やすくなるので推奨します。
先に定めた資本金額を入金します。
後でコピーを取って提出するので忘れないようにしましょう。
- 必ずA4の用紙をお使いください
- 文字がはっきりと読める状態のものをご用意ください
表紙をめくってすぐの、支店名などが記載されている部分です。
- 必ずA4の用紙をお使いください
- 文字がはっきりと読める状態のものをご用意ください
- 必ずA4の用紙をお使いください
- 文字がはっきりと読める状態のものをご用意ください。
2-7.登記書類をまとめる

作成した書類一式を印刷して製本し、提出準備を整えます。
登記書類作成サービスで作成した登記書類一式を印刷してください。提出用と控えの2つが印刷されるのが一般的です。5で作成した払込証明書も用意しておきましょう。
株式会社の方は「定款の一部変更」の項目でダウンロードして編集したOCR用紙のほうも印刷してください。
また、ここで印刷されるOCR用紙は変更が反映されていないものなので破棄してください。
登記書類作成サービスの指示に従って印刷した書類(提出用と控えの両方)に押印しましょう。書類によって法人の実印を押すものと個人の実印を押すものがあります。
使用している登記書類作成サービスのマニュアル通りにホッチキス止めしてください。
必要な書類がケースバイケースなので、ここで具体例は出しません。
提出用の方に発起人と取締役全員の印鑑登録証明書をクリップ止めしてください。
2-8.法務局で登記

法務局に作成した登記書類一式を提出し、法人登記を行います。
会社設立の最後の作業です。
- 定款
- ホッチキス止めした登記書類
- 発起人の印鑑証明書(6でクリップ止めしたもの)
- 取締役の印鑑登録証明書(6でクリップ止めしたもの)
- 発起人の委任状(複数名で、法務局に出向かない人が居る場合)
- 現金15万円(合同会社は6万円)
- 会社印と発起人の実印(修正や押印漏れの対応用)
- 窓口へ持参(推奨)
- 郵送(非推奨)
- オンライン(未対応)
オンラインは登記書類作成サービスが未対応であるほか、窓口に持参するより複雑なので割愛します。
手順(窓口の場合)
どこの法務局に行ったらよいのかは各登記書類作成サービスが教えてくれます。持ち物を忘れないようにしましょう。
法務局内の売り場で納付する登録免許税の代金となる収入印紙を購入し、登録免許税納付用紙に貼り付けましょう。株式会社15万円,合同会社6万円になります。
大抵の場合、提出前に書類の内容をチェックしてくれる人が居ます。わからない場合は職員の方に聞いてみましょう。
これで登記完了です! 提出した日が会社設立日となります。
手順(郵送の場合)
法務局意外だと郵便局で購入できます。登録免許税納付用紙に貼り付けてください。
必要書類を梱包して法務局へ郵送しましょう。送り先は各登記書類作成サービスが教えてくれます。
登記書類は信書にあたるため、必ず一般書留を利用してください。
- 一般書留の保証額の上限は10万円ですが、追加料金を支払うことで5万円単位で上乗せできます。
万一の事故に備えて設立にかかった費用の合計金額が賄えるだけの保証を付けておくことをおすすめします。 - 封筒に「会社設立の登記書類在中」といった旨の記載をしておけば相手に中身が伝わりやすいです。
これで登記完了です! 法務局へ書類が到着した日が会社設立日となります。
設立完了!
これで設立は完了ですが、事業開始までにやることはまだまだ残っています!
以下のリンクから次のページを確認して設立後の準備にお進みください。